西洋医学と異なる漢方の概念に「気血津液(精)」があります。
気・血・津液(・精)とは、一言で言えば、
「生命活動を維持するために全身を流れるエネルギーのようなもの」
です。
漢方では、人間の身体を診るために、まずそのように設定しているわけです。
今日はその中でも「気」の話です。
漢方(中医学)の基礎とも言える書物『黄帝内経・素問』にも書かれている通り、人間は自然界の気が集まってできています。(⇒注)
つまり、人間は「気」でできています。
「自然界の気が集まって」と言っても、SF映画のようにシュワ~~~ンと何かエネルギーが集まっているわけではなく、実際には飲食によって得られた栄養素である「水穀の精微」から気が生成され、人間を構成しているわけです。
そんな気には、いろいろな働きがあります。
推動作用(動かす)、温煦作用(温める)、防衛作用(外邪から守る)、固摂作用(漏出・下垂を防ぐ)、気化作用(変化させる)、営養作用(栄養を与える)の6つがあります。
これらの働きが失調すると、いろいろと症状も出てきます。
過労・過度な運動などで気を消費しすぎたり、過度な食事制限で食べ物から気が生成できなかったりすると、気は不足します。
これが「気虚証(ききょしょう)」です。
元気がない、疲れやすい、食欲がない、風邪を引きやすいなどの症状が出やすいです。
休養すれば回復するのであればそれでいいですし、そうでなければ食養生、それでもダメなら漢方薬で回復をはかりましょう。
しっかりと休んで、バランスの良い食事を摂る。
漢方薬は食べた物をしっかり気に変えるために、胃腸を元気にするなどをします。
六君子湯や補中益気湯などを使用することがあります。
ストレスなどで気のめぐりが悪くなることを「気滞証(きたいしょう)」と言います。
これに関しては、以前のブログで「イライラ怒りっぽい」に詳しく書いてありますのでご覧ください。
注)「天地合気、命之曰人」(天地の気を合し、之を命(な)づけて人と曰ふ)『素問・宝命全形論』